「ゼロからわかるブラックホール」(大須賀健)

面白く、わかりやすく、エキサイティング

「ゼロからわかるブラックホール」
(大須賀健)講談社ブルーバックス

宇宙、そして物理学。
わかりたいと思っても、
ちんぷんかんぷん。
学生の頃、
アインシュタインの
相対性理論に関する
ブルーバックスを読みましたが、
ちんぷんかんぷん。
平成の最初のあたりに
ホーキング博士が話題になり、
著書を読みましたが、
ちんぷんかんぷん。
理科教師として情けない限りですが、
自分の理解力の範囲を
超えていると感じています。

でもやはり
「宇宙」は男のロマンだと思います。
特にブラックホール。
SF好きでなくても、
知りたいと思う気持ちは
止められないはずです、男子なら。

本書の著者・大須賀健先生の講演会が、
数年前、前任校で行われました。
そのときの内容が本書を中心とした、
ブラックホールについてだったのです。
およそ中学校や高校での講演など、
つまらない話を
思いきりつまらなくして話す講師が
ほとんどです。
しかし大須賀先生は、
こんなにも興味のある話題を、
時間が短く感じるほど、
面白くわかりやすく、
エキサイティングに
お話しして下さいました。

中学生も、
身を乗り出して聞き入っていました。
終わった後の子どもたちのつぶやき。
「ブラックホールって、
SFの世界のものじゃなかったんだ。」
「そうか、ブラックホールって、
穴じゃなくて天体だったのか。」
「空間も歪むって、
こういうことだったんだ。」
難しい理論を、
中学生にもわかるように
かみ砕いて教える。
素晴らしいことです。

本書を改めて読むと、
あのときの感動が蘇ります。
内容は確かに難しいのですが、
読み進めると「難しい」と
感じさせないつくりになっていることに
気付かされます。
読み手に語りかけるような文章。
興味を喚起し、
読み手を引きつける構成。
ポイントとなる部分での
豊富な図とチャート。
難しい理論をさも難しく
書き表した本の多い中で、
読み手の立場に立ち、
とことんかみ砕いて、
イメージしやすいように
つくられてあるのです。
読書経験を
ある程度積み上げている中学生なら、
しっかり読みこなせるはずです。

我が身を振り返ってみると、
反省すべき点ばかりです。
自分は学ぶ側の立場に立って、
わかりやすく
説明できているのだろうか…。

理科で宇宙を学習したあとの
中学校3年生、
そして理数系の高校生に、
ぜひお薦めしたい一冊です。

(2020.2.19)

Stephanie FelixによるPixabayからの画像

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